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急がばプロトコル!

<修正:2019年3月22日>

~~~~~お知らせ~~~~

本ページにて私が筆頭著者であります論文を例として紹介するにあたり、「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE)に確認の上、対象となる論文の記事ページに表示されているDOIを利用・設定しております。 

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私、「思いついたら即、実行」を地でゆくタイプです。

 

ですので、今までも気になる事があれば、真っ先にアンケートを作って実施して、集まった結果を元に解析等(素人の言う解析なので、大した内容ではありませんが)していました。

解析を続けると、「あ~、コレも調べれば良かった」とか「コレを調べていたら、ソレとの関連性もよく見えたっぽいな」と思うことがよくありました。

 

そこで、追加でアンケートを…というのは、実は間違いです。

だって、回答者が全く違うわけですから。 

 

極端な例を挙げます。いずれもアンケートとします。

  • 1回目:薬剤師の身長の平均が知りたくて、身長を答えてもらった。
  • 2回目:体重との相関が知りたくて、体重を答えてもらった。 

もし、1回目で女性が圧倒的に多く、2回目は男性が多い状況だったらどうでしょう?

お分かりですよね、これでは本当に身長と体重に相関があるかどうかなんて、出せませんよね。

これは、行き当たりばったりの無計画さが招いた結果です。

「プロトコル(またはプロトコール:研究計画書)を書く」

ことで、こういった事象を防げます。

 

また、研究をして、結果を見たら別の内容も必要と分かり追加で研究をし、さらに別の結果も~(中略)~したら、結局殆どの研究が無意味で元に戻ってしまった…という経験もあります。

これも、プロトコルを最初に書くことで防げます。 

 

一見、研究の自由度が低くなるような気もしますが、発想が逆なんです。

プロトコルに出来ないような研究は、まだテーマがしっかり見えていないということです。

プロトコルを逸脱するような自由度は、研究結果の信頼性を大きく欠きます。 

 

さらに言うと、プロトコルを書くメリットはとても大きいということです。

 

  • 倫理審査を受ける場合に必須であり、事前に用意することで「これ、倫理審査が必要だよ」と指摘を受けてもすぐに対応できる。
  • プロトコルに書いた内容は、論文化の際にそのまま使えるものもあり、論文を構成する上で書き順の目安、あるいは下書きにもなる。 

面倒くさい作業に思えるかもしれませんが、きちんとした研究というのは、必ずプロトコルが存在します。

そして、プロトコルが書けたら即・倫理審査(委員)会に諮り、承認が降りたら即・研究開始です。

プロトコルの作成如何がボトルネックとなるわけです。 

 

ちなみに、倫理審査が不要な研究もあります。

「人」や「人に由来するデータ」を扱わないものです。

 私が行った研究に下記があります。 

 

タイトル:錠剤の「割線模様」がもたらす影響と各種情報源における割線情報の取り扱いの現状

著者:田中 秀和, 三上 明子, 藤澤 哲也, 若林 進

掲載誌:医薬品情報学

 

これは、公になっているWebサイトの情報を集め、「錠剤の割線」について行ったものです。

薬剤師を対象としてWebアンケートを行っているため、本研究については倫理審査も必要ですが、もし割線の情報だけで研究を行っていれば倫理審査不要となる研究でした。

 

それでも、存在した方が研究の最中に迷わずに済む…それがプロトコルです。


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