私が過去にお教えいただいた方に言われて、「ハッ」とした言葉があります。
「せっかく見てもらうのだから、見やすいものでなければいけない」
ありふれた言葉に感じるかもしれませんが、発表を重ねるたびに私の中で大きくなっています。
どんなに素晴らしい内容であっても、どんなに世の中を動かすような重要な内容であっても、まずは見てもらわなければ何も始まりません。
考えてみてください。
例えばポスター発表を行う場合、1~2m離れた場所から認識できるポスターの文字サイズとして、24pt以上が望ましいと書いてあるサイトを見たことがあります。
これを、Microsoft Wordの標準である10.5ptですべて書いていたら…あなたは読みたいと思いますか?
そして、一番の基本となる「構造化抄録」について触れてみたいと思います。
さて、「抄録」という言葉が初めて出てきました。
実は抄録・要旨ともに、英訳するとAbstractという単語になります。
ですので、抄録と要旨の厳密な使い分けについては特に気にする必要はないと思います。私も分かっておりません。
なのになぜこの単語が出てきたのか。
それは、この「構造化抄録」という表現を使ったタイトルの論文が存在するからです。
残念ながら、私が過去に見つけた論文が見当たらずご紹介できませんが、内容は大まかに次のようなものだったと思います。
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現在もまだ、抄録が構造化されていない要旨集を見かける
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構造化されていない抄録がいかに読みづらいか
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構造化されていないと、要点を探すのに時間を要する
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今後は構造化が標準となるべき
たしかに、2018年11月現在でも、構造化されていない要旨を見かけることは結構あります。
あくまで個人的な意見ですが、構造化されていないと本当に言いたいこと、読み手が望んでいる情報がどこにかかれているのかが分かりづらいので、まるで感想文のように感じてしまいます。
感想文は言い過ぎにしても、文庫本ではないので、一から十まで読まないと結論が読み取れない文章は好ましくありません。また、口語表現や調査対象に敬称・敬語を用いている要旨(例:患者様に回答して頂いた etc)も見かけますが、これもおかしいと感じます。
学会によっては、数百におよぶ要旨が掲載され、その中から自分が見たい発表を選ぶ必要があるわけですから、「読み手が読みやすい」という条件は必須だと思います。
さて、ここまで書いてきましたが、構造化抄録とはなにか。
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目的・背景
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方法
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結果
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考察・結論
と分けて記載する方法です。
それぞれの単語は、学会が事前に明らかにしているレギュレーションに記載されているので、これを守った方がベターだと思います。